2014年9月24日星期三
<過干渉>子どもの人生を支配 「毒親」本相次ぎ出版
子どもの人生を支配するように関わる親を扱った書籍や映画が話題となっている。「毒親」あるいは「毒母」と呼ばれる人たちのことで、子ども側が体験をつづった書籍の発売が続く。公開中のルーマニア映画で、ベルリン国際映画祭の最高賞、金熊賞を受賞した「私の、息子」も過干渉な母を描いている。「毒親」とは何なのだろうか。
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◇母の言動に苦しみ
漫画家の田房永子さん(35)は、実の親との決別をテーマにしたコミックエッセー「母がしんどい」(中経出版)を2012年に出版した。描かれる実母は感情の起伏が激しく、田房さんの言動が気に入らないと、柔和だった態度が急変し、ののしられた。
習い事や家庭教師を次々とかえられたり、楽しみにしていた友人との旅行を直前にキャンセルされたりしたことも。社会人になっても、意に沿わないことがあると勤め先に電話してきて「謝れ」との言葉を浴びせられたという。
母はいつも「あなたを愛しているから」と愛情を強調。そして「私は悪くない」「言う通りにすればいい」と主張したという。
いつしか、田房さんは自分で物事を判断できなくなり、「死にたい」と思うように。「うちの親は変だと思いつつ、自分の苦しみの理由が母にあると考えたくなかった」と振り返る。
しかし、29歳の時、結婚を機に両親との決別に踏み切った。カウンセリングなどで、自分の生きづらさの原点が母親にあると理解すると、恨みがあふれた。夫に感情をぶつけてしまい、「このままでは夫を失う」と思ったのがきっかけだった。
今は住所も知らせていない。当初は「こんなことで親と縁を切っていいのか」と罪悪感を抱いたという。
女優の小川真由美さんの娘や、元アナウンサーの小島慶子さんが出版した自叙伝も、親との関係の苦しさをつづった。
映画「私の、息子」は、監督自身の母との関係を基にした作品だ。裕福なキャリアウーマンの母親が、30歳の無職の息子が起こした問題を解決しようと、自ら関係者と交渉し、恋人と同居中の息子の生活にも立ち入る。息子が一大決心をして母と距離を置こうとして、必死に訴えても母親に届かない。田房さんは「私も、この息子と同じせりふを母に言った」と語る。
◇娘を束縛、期間長く
カウンセラーの立場からこの問題を捉えた「母が重くてたまらない~墓守娘の嘆き」(春秋社)などの著書がある原宿カウンセリングセンターの信田さよ子所長は、「『毒親』になる人は、最初からひどい親だったわけではない。20年ぐらい前なら『いいお母さん』と言われたような人たちです」と指摘する。「『お母さんの望み通りの娘じゃなくてごめんね』と思っていた子どもが人権意識に目覚め、自分は悪くない、なぜ評価されないのかと思った時、その親は『毒親』になる」という。
「どうせ、あなたなんか何をやっても無駄よ」
「あなたは絶対に幸せになれない」
そんな言葉が子どもを縛るという。どれも他人に言われたら突き放せるが、自分の最大の理解者であるはずの母親から発せられた言葉は、重い現実味をもって響くからだ。
信田さんは、こうした親が生まれる背景の一つに高齢化社会を挙げる。親が長生きし、加えて子ども世代の未婚率が上がっているため、「親はいつまでも娘を独占できるから」。
自分が「毒親」である可能性に気付くことはできるのだろうか。信田さんは「子どもには自分の知らない世界がある、と思えるかどうかが境目」と断言する。「子どもをいっぱいほめてあげること。幸せになろうね、というメッセージをいっぱい送ることが必要」という。
◇別の幸せ見つけて
田房さんは、母とはかつての母子関係に戻ってしまいそうになるため、年1回程度しか接触しない。今月、同様の体験をした人のインタビューを漫画にした「うちの母ってヘンですか?」(秋田書店)を出版した。親の執着から逃れた娘たちの思いは共通していた。
「母に不幸になってほしいわけじゃない。でも、私じゃなく、別の何かで幸せを見つけてほしい」
◇ 「毒親」を持つ人たちが集まるイベント「毒母ミーティング」が25日午後7時半から、東京都杉並区の「阿佐ケ谷ロフトA」で開かれる。田房さんや信田さんらが出演し、親とのエピソードや「逃げ方」を語る。詳しくは阿佐ケ谷ロフトAのサイト(http://www.loft-prj.co.jp/lofta/)で。【五味香織】
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